ノモンハン事件現地慰霊の旅 モンゴル・ノモンハン紀行
4.モンゴルよもやま話
①デカイ蚊の話し。
スンベル村の蚊はデカイ。体長は7mmほどもある。背中に茶色の毛がびっしり生えていて、いかにも獰猛な感じだ。しかし、これで驚いてはいけない、これは平均的な大きさの話しで、これ以上大きいやつ(8mm大)が、ざらにいるのである。針の長さは2.5mmほどあり、ジーンズの上からでも平気で刺してくる。しかし、幸いな事に巨大なために動きが鈍い。ジーンズの上に止まってから、ノロノロと刺す場所を探すのである。また、巨大なので発見もしやすい。
その為か、目に見える範囲を刺される事はほとんどなかった。首筋などは防虫スプレーを塗って対処したが、案外盲点だったのが背中である。服を着ているので大丈夫と思っていたが長さ2.5mmの針にとっては関係なかったようで、刺された場所のほとんどが背中と肩だった。ノモンハン事件当時は、奴らがテントの天井がかすんで見えなくなるほど集まってきたと言うのだから驚きである。
②文中にも書いたが、とにかく道が悪い。一見すると草原は快適のように見えるが、道より更にひどい。草原で時速30km/hも出せば荷台の荷物は全部飛び出しかねない。運転手も飛び上がって運転できないだろう。モンゴル軍の戦車兵が逃げられない様に足を縛り付けられていたと言う話しは、もしかしたらこの為かもしれない。(自分で解ける様に縛ったか否かで話しは大きく変わるが・・)
当然、風景を撮影しようと思ってもカメラを構える事ができない。グアムで体験した実弾射撃の経験から考えても、ノモンハン事件当時、走行しながら狙いを定めるなんて事は不可能だったはずだ。これは現地を体験した者でなければわからないだろう。
③モンゴルの野菜
モンゴルの食卓にならぶ野菜は、トマト、きゅうり、(まれにきゃべつ)がメインだった。他の野菜は見た記憶ががない。個人的には日本で毎日食べている野菜と同じだったので問題なかった。きゅうりは必ず角切りだった。
デザートに西瓜がよく出てくる。珍しい物に西部ゴビ砂漠方面のカザフスタンに近い所でとれた西瓜というのがあったが、種が多く水っぽくて甘味がなかった。
④食事
私は食事に関してはほとんど問題は無かった。勝手な事を書いているのでモンゴルの方が読まれたら立腹しかねないが、それぞれ作り方は不明なので、似たような味を味わうにはこんな風だ・・という感覚で読んで頂きたい。
《初日に食べた、日本の牛缶に手打ちうどんを入れたようなスープ》
日本では、まずこんな取り合わせで食べる人はいないだろうが、結構いけた。牛の缶詰に手打ちうどんを入れた全くそのままの味だった。試しにチャレンジされてはいかがだろうか?
《朝出てくる牛乳粥》
これも考え様によってはおいしい。砂糖の入ったホットミルクでお茶漬けを作る要領だ。簡単なのでこれも一度試して頂きたい。ちなみに通訳のハンダさんは嫌いだと言っていた。(ちなみに彼女はお寿司が大好きとか・・)
《ビーフン料理》
これは完全にはまってしまった。日本で言うとホカ弁についている春雨のサラダみたいな感じである。味付けや食材はいろいろ家庭によって違うようだ。(特にダシュナム家のは最高だった)
《豚マンの皮をまるめたようなパン》
これも個人的にはまってしまった1品だ。簡単に言うと、中華料理屋の豚マンの皮だけ丸めたものである。小麦の味がして、ほのかに甘い。作る人によって、軽い塩味の場合もあった。
《黒パン》
これは家庭で作るものではないが、食べたパンは、ほとんどこれだけだった。硬いけど日本の食パンより風味があっておいしい。これで作ったサラミとトマトときゅうりのサンドイッチは最高だ。中には黒パンが合わない方もいらっしゃるようだが・・
《乳茶》
簡単に言えばのミルクティーである(茶、乳が何かは不明)。しかし、砂糖ではなく、ほのかな塩味(バター?)である。これも簡単にできるので試してもらいたい。
《馬乳酒》
問題はこれである。さすがにこれだけは、ぐいっと試すわけには行かなかった。日本人なら一発で下痢をするらしい。実は、モンゴル人でも下痢をするそうだ。実はこれ、腹下しに使う様である。冬の間、完全な肉食で疲れた胃腸を、夏の間に馬乳酒で休めるのだそうだ。味はと言うと、開封後、賞味期限の完全に切れた日本酒に、これも開封後、賞味期限の切れたノンシュガーのヨーグルトを混ぜれば同じような味になる。馬のお乳で作ったヨーグルトが発酵しすぎて酒になりかけたタイミングなのかもしれない。さすがに、これだけは口をつけただけで終わった。
《乾燥チーズ》
薄く切ったチーズを乾燥させたものである。見た目はサラダ味のおせんべいと同じであるが、食感は表現しにくい。とにかく硬くこりこりしてる感じだ。味はほのかに酸っぱい。天日乾ししているそうだがどこかのタイミングで若干、発酵させているようだ。物によっては1発で下痢になる代物らしい。私は1個しか食べなかったが、たしかに調子は悪くなった。
勝手な事を書いたので、来年は材料と作り方を聞いておきます。(写真も・・・)
⑤羊の香り・・
どこの国もその表玄関である空港に到着すると、その国の臭いがするという。日本では”しょうゆソース”、韓国では”キムチ”といった具合だ。モンゴルはというとやはり”羊”の臭いだろう。特に一般家庭に入るとよくわかる。北海道のジンギスカンと同じ臭いがするのである。これが合わない方もいらっしゃるようだ。
⑥検疫申請?
日本帰国時に検疫カードと言うのでしょうか?体調を記入する黄色い用紙があった。私は食べ過ぎだけなので何も書きませんでしたが、他の方たちは、腹痛、下痢、嘔吐の項目に〇が入ったようである。実際、モンゴル旅行では下痢は付き物のようなので問題もないのだろう。他国からの帰国でツアーのほとんどの人が下痢をしていたらかなり問題になると思う。
⑦抑留体験談
永井団長と木島副団長はソ連抑留時代に知り合ったという話しだ。当時のこぼれ話をひとつ。
粗末な食事で重労働をしいられる抑留生活だが、あまりにも過酷な条件の時にはストライキを行ったそうである。真冬の-40度を越える朝はさすがに作業は辛い。そこで作業出発時の点呼の際に、看守が人数を数え終わった列からわざとに列を乱して行くのだそうだ。おかしな事に看守は全員10以上が数えられないらしく、5人が5つ集まった物をまた5つ並べて・・と言う具合に勘定していくものだから、列が乱れる数がわからなくなり、また1から数え始めるらしい。それを何回も繰り返しているとさすがに看守も怒り始めてめちゃくちゃになり、その日の作業は中止と言う運びになるそうだ。
⑧慰霊塔
ノモンハンに建っている慰霊塔はそのほとんどが永井団長の私財より建立されたものである。ダンバダルジャ日本人抑留者墓地で破壊されていた慰霊塔も同様である。これらの慰霊事業?に一切、日本の厚生省は関知していないのだ。いまだにノモンハンには4000人ほどの遺体が眠っていると言う話しである。厚生省はいったい、どういうつもりなんだろうか?
2009.10.05追記:現在では厚生労働省により、毎年7月に現地での遺骨収拾が行われている。